共創が育まれる条件|森の生態系から考える「多様×自律×関係」と「ゆるみ」
森のR&D「Will」@MIRAI LAB PALETTE
共創をテーマにするコミュニティや組織は多いと思います。
人が集まり、何かを生み出すという意味では、すべてのコミュニティや組織にとってのテーマと言えるかもしれません。
一方で、「なかなか共創が生まれない」「関係がどこか表面的」「熱量が続かない」「どこから手をつければよいか分からない」…そんな難しさを感じている方も、少なくないのではないでしょうか。
何が鍵になるのか。今回は、森の生態系と重ねながら、「多様」「自律」「関係」という条件と、「ゆるみ」に焦点をあてて探ってみたいと思います。
東京・大手町でコラボレーション開催している森のR&D「Will」@PALETTEの森(MIRAI LAB PALETTE/運営:住友商事)で、ご一緒した皆さまから寄せていただいた言葉とともに振り返ります。
*職場での共創は、どのように立ち上がっていくのか…人材・組織開発にも通じる問いです。
*コミュニティや組織については様々な見解や研究がありますが、今回は森の生態系と重ねて見つめています。
森の生態系から考える「共創」
森のあり様をみてみると
無数の生物・無生物が(多様)
想い想いに在り(自律)
関わり合って(関係)
さまざまなものを育みながら(生成)
変化に応じて(適応)
巡っています(循環)
強力なリーダーが統制しているわけでも、誰かが管理しているわけでもありませんが、育みながら、森で在り続けています。
森の生き物たちには「そんなに簡単に割り切れないよ」と言われるかもしれませんが(笑)、共創のプロセスとして、コミュニティや組織にもあてはまる流れではないでしょうか。
このプロセスを支える基本条件として、「多様」「自律」「関係」があります。
森の中に身を置くと、多種多様な生き物や樹々が、既にそこにあることに気づかされます。
人が集まるコミュニティや組織も、同じではないでしょうか。
「多様」は、意識的につくるものというより、既にそこにあるもの。
大切なのは、それに気づくことかもしれません。
そして、一人ひとりの「自律」が促され、「関係」の質が高まることで、その「多様」がさらに鮮明に見出されていきます。
「自律」は、一人ひとりの内にあるもの。
「関係」は、人と人の間に育まれるもの。
これらは、本質的にコントロールすることが難しく、管理では行き届かない。
冒頭に触れた難しさは、こんなところにあるのかもしれません。
森の後のリフレクション(寄せていただいた言葉)
森のR&D「Will」@PALETTEの森でご一緒した皆さまから寄せていただいたリフレクションから、一部を抜粋してご紹介します。
今回は、自分について、他者・場についての気づきを、それぞれ「自律」「関係」という視点で分類・整理をしています。
「自律」…自分についての気づき
自分の感情や想い、価値観やWillを言葉にされました。また、気づき方についての言及もありました。
- ワクワクも落ち込みも、自分の中の同じ価値観に起因している
ワクワクしたこと、落ち込んだこと、両方ともに自分の中にある同じ価値観に起因している。
- 自分の心深くに降りて、感情を具現化した
身軽な身体で心地よく時を過ごしながら、自分の心深く(生身・裸・根源)に降りて行って感情を具現化した。
- チームを大切にしたい
会社のチームを今まで通り大切にする。誰かと一緒にいたいという気持ちが強い。
- 具体化と抽象化の往復が大事
具体化と抽象化の往復が大事。意識しないと10:0になります。このような場がないと抽象化を言語化する機会が持てません。
- 話をしない時間に気づくことが多い
場の設計がとても大事。あえて話をしない時間に気づくことが多い。答えが自分の中にあったとしても、いつでも簡単に見つかるわけでなく、機会がないと難しい。
「関係」…他者・場についての気づき
互いの価値観のシェア、信頼、共鳴…そういった言葉が寄せられました。また、日常への接続についての言及もありました。
- 普段は価値観の次元で話をすることがない
いろいろな人がいる。それは価値観の違いによる(普段はその次元で話をすることがない)
- 信頼がもてる
このような集まりに来られる方は、信頼がもてる。
- 共鳴できる存在を大切にしたい
今回のメンバーの勢いに刺激を受けると同時に、過去の参加で出会った共鳴できる存在を大切にしたいと改めて思った。
- PALETTEのメンバーと、チームで関わりたい
PALETTEのメンバーとも、チームとして関われるようにコミュニケートする。
- 悩んだらコミュニティマネージャーに相談してみる
ここで出会った人と再会。悩んだらコミュニティマネージャーに相談してみよう。
*森で起こること、感じることは、時により、人により異なります。
PALETTEの森
MIRAI LAB PALETTEというコミュニティの取り組みと、その中でよる森 / YORUMORIが担っている役割について紹介します。
MIRAI LAB PALETTEについて
MIRAI LAB PALETTEは、メンバー数が増え続け、共創が生まれ続けているコミュニティとして注目されています。
様々な場の設計や工夫があると思いますが、「自律」と「関係」という観点では、コミュニティマネージャー 鎌北さんをはじめとする「人」による関わりが、メンバーの「自律」を促し、「関係」の質を高めているように感じます。
そしてその結果として、一人ひとりのユニークさが引き出され、コミュニティの「多様」がさらに豊かに立ち現れているように見えます。
- 自律:内にある価値観や、湧いてくる想い(Will)を起点に行動すること。
PALETTEでは、技術やスキルだけでなく、メンバーお一人おひとりが大切にしている価値観や想いが尊重されているように思います。
PALETTEでのコミュニケーションを通して、内発的動機の解像度が上がり、訪れるたびに自分の軸を思い出すようなことが起きているのではないかと考えられます。
- 関係:関わり合いの中で、互いに影響を与え合うこと。
PALETTEでは、所属や肩書きだけでなく、人柄や想いも含めて人と人がつながる機会が多いように思います。
人と人との間にある心理的な垣根が自然に下がり、信頼関係が育まれやすい状態から関係が始まっていると考えられます。
もう一つ、「自律」と「関係」を支える要素として、「ゆるみ」があるように思います。
森には所定のスケジュールはありません。
流れに応じて芽吹き、実り、時には待つ。それは、固定されたものではなく、急かされるものでもありません。
この柔軟で、急かされない「ゆるみ」が、一人ひとりの内にあるものに気づきやすくし(自律)、他者との関係に余白を生み(関係)、共創が育まれやすい環境をつくっていると考えられます。
- ゆるみ:「自律」と「関係」が育まれる、時間をつくる・待つこと。
過度に効率を求めないこと、性急に答えを出さないことを許容すること。PALETTEが「未完なラボ」と自ら宣言していることとも、重なるように思います。
森のR&D「Will」について
森のR&D「Will」@PALETTEの森は、自分の内側にある大切なものに触れ(自律)、素の状態で他者と関わり合いながら気づき合う(関係)、森の時間です。
これは、コミュニティマネージャー 鎌北さんと、メンバーお一人おひとりとの関わりとは別の方法として
PALETTEメンバー同士で「自律」を促し合い、「関係」の質を高め合う…
メンバー自らが、自らのコミュニティで共創のプロセスを育む取り組みでもあります。
森も、人も、コミュニティも奥が深いので…
森と人に触れながら、皆さんとともに、探究を続けていきたいと思います。
ご一緒いただいた皆さま、コミュニティマネージャー 鎌北さんをはじめMIRAI LAB PALETTEの関係者の皆さまに、心より感謝申し上げます。
組織における共創(人材・組織開発のテーマ)
チームや組織も、人が集まり価値を育む場という点では、森の生態系やコミュニティと通じるところがあります。
パフォーマンスを発揮するために、知識や技術を磨くことは不可欠ですが
上述のPALETTEのケースを参照すると、それだけでは共創は生まれにくい…
共創を育むために、一人ひとりの「自律」を促し、人と人との「関係」の質を高めること。
こうした取り組みが、「多様」をさらに引き出し、共創の土台を育んでいくのではないでしょうか。
「自律」は人の内にあり、「関係」は人の間にある。
これらは情報やツールではなく、「人」が「人」に関わることが鍵になる領域です。
そして、単発の研修や短期の施策で完成するものではなく、「ゆるみ」もつくりながら、継続的に取り組むことで、育まれていくものだと思います。
「多様」「自律」「関係」、そして「ゆるみ」に関する、いくつかの研究・知見をご紹介します。
多様性と創造性・問題解決(多様性予測定理)
複雑な課題を解決する際、同質的な専門家集団よりも、多様な視点を持つ集団の方が、より優れた創造性や成果を発揮することが示されています。
(Scott E. Page/The Difference、ミシガン大学教授)
内発的動機(自己決定理論)
人の内から湧き上がるモチベーション…内発的動機付けを育む心理的ニーズとして、「自律性(自らが決めている感覚)」「有能感(できるという感覚)」「関係性(他者とつながりたい感覚)」の3つが示されています。
(Edward L. Deci/ロチェスター大学教授)
心理的安全性(チームのアウトプットを高める)
チームの成果を左右する最重要因子として「心理的安全性」が挙げられています。能力の高い人が集まることよりも、安心して本音を話せる関係性があることの方が、チームのアウトプットを高めるというものです。
(Google Project Aristotle/Google ピープルアナリティクスチーム)
関係の質(成功循環モデル)
組織の成果を持続的に高めるためには、まず「関係の質」を高めることが重要とされています。関係の質が高まることで、思考の質、行動の質、そして結果の質が高まることが示されています。
(Daniel Kim/MIT組織学習センター共同創始者)
創造性(ゆるみ・プレッシャーのない時間)
自由でプレッシャーのない時間を持つことが、新しいアイデアの創発につながることが示されています。人が内にあるものに気づき、言葉にし、他者と関係を深めるためには、「ゆるみ」が必要であることを示唆しています。
(Teresa Amabile/ハーバード・ビジネス・スクール名誉教授)
よる森 / YORUMORIでは、組織の「共創」、働く個人の「自律」(内発的動機など)や、「関係」の質(チームビルディング)について、個別にお話し合いの機会を設けています。どうぞ、気軽にご相談ください。
よる森/YORUMORIの取り組み
よる森 / YORUMORIは、自然と 自分と 仲間|他者との対話を重ねながら、「人とコミュニティの元気」「人と森(自然)との豊かな接点」の一助になることを目指す活動です。おかげ様で14年目を迎えました。
個人向け
日常や思考から離れて感覚へシフト。自然・自分・仲間とのつながりを実感する内省と対話で、より自分らしく生きるきっかけを創ります。
法人向け
働く個人 一人ひとりの自己理解・内発的な動機を育み、相互理解・チームビルディングを促して、対話が力になる組織風土を育みます。
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地域・自治体向け
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